「最初はできなかったことも最終日にはスムーズにできるようになりました」
7月の5日間、Oさん(30代・男性)が社会福祉法人みんなの輪が運営する福祉サービス施設「あいあいファーム わ・は・わ田尻」で就業体験を行いました。
今回は、その体験の様子を本人に振り返ってもらいました。
― 今回の就業体験に参加するにあたり、どんなことを意識して取り組みましたか?
「ストレスを溜めないように心がけて、楽しさを見つける」「相手の顔をみてコミュニケーションする」「集中力を持って取り組む」、この3つを意識して取り組みました。
「ストレスを溜めないように心がけて、楽しさを見つける」はこれまで働いた経験が少ないため、仕事に対して不安があります。そのため、体験の中で仕事をすることの楽しさを少しでも見つけたいと思いました。
「相手の顔をみてコミュニケーションする」はコミュニケーションが苦手なためです。話すことが得意ではないのですが、その分、しっかり相手の顔をみて、話を聞く、話をするということができればと思いました。
「集中力を持って取り組む」は5日間という短い期間を有意義に活用し、できるだけいろいろなことを学びたいと思ったからです。
― 実際に体験ではどのようなことを行いましたか?
体験先の「あいあいファーム わ・は・わ田尻」は一般での就労が困難な障害者に対し、自立した日常生活、社会生活が営めるよう、生産活動などの活動の機会を提供している事業所です。
体験では、まずその事業所に通っている利用者が行う牛や豚の世話を一緒に行いました。その後、支援員として利用者のサポート業務を行う内容でした。
― 体験をしてみて良かった点や難しかった点はありますか?
作業については、最初はできなかったことも、少しずつ慣れていくにつれ、最終日にはスムーズにできるようになりました。例えば、豚のえさづくりでは、日によって原料の配合が異なり、その割合をホワイトボードに記入するのですが、最初は数字がいろいろあって混乱しました。しかし、回数を重ねるうちにスムーズにできるようになり、改めて毎日の積み重ねが大切だと実感しました。
コミュニケーションについては、職員の方とはうまくできたと思います。意識して顔を見てコミュニケーションをとるということも、最終日には意識せず、自然にできるようになりました。
ただ、利用者とのコミュニケーションが難しかったです。利用者のみなさんは常に自然体で明るく、賑やかな雰囲気で作業をしているのですが、その中に入っていけない自分に歯がゆさを感じました。そのことが気になり、体験2日目が終了した時点で、これ以上体験を続けることが難しいかも、と思い悩んでしまいました。このことを就労支援員の方に相談した結果、作業時間帯を変更してもらうなど体験先の事業所の方に協力してもらい、なんとか5日間の体験を終えることができました。一度あきらめかけたことを最後までやり遂げたことは良かったのですが、コミュニケーションの課題は残りました。
― コミュニケーションの課題については、今後どうすれば改善、克服できそうですか。
以前から周りの人に「固い」と言われることがありました。今回の体験を通じ、やはりそうかも、と思いました。普段からもっと人と会話をする機会を増やし、気軽に話をすることに慣れていく必要があると思います。
― 今回の就業体験を今後の求職活動にどう活かしていきたいですか。
屋外での作業は初めてでしたが、開放的で気持ち良かったです。体を動かす作業も楽しく、今回の作業程度であれば体力的にも問題がないことがわかりました。また、豚や牛とのふれあいも初めてで新鮮でした。今後の仕事探しにおいては、体を動かす仕事や、畜産系の仕事もみてみようと思います。
【担当支援員から一言】
屋外の作業が多く、暑かったり雨だったりと天候が不安定な中、集中力を切らさず、真剣に取り組む様子がみられました。コミュニケーションについてはもともと苦手意識が強く、今回も壁にぶつかり思い悩むこともありましたが、就労支援員に相談することで、5日間の体験を無事終えることができました。困ったことや不安がある時は一人で抱えず、周りの力を借り、お互いに協力していくことの大切さを学ぶことができたと思います。