さまざまな分野の方々に「働く一歩」応援制度の活用方法のヒントを聞くインタビュー企画。
今回は、この事業の担当課である宮城県経済商工観光部雇用対策課の佐藤幸徳様、浅野弘美様のおふたりにお話を伺いました。
―― 就職氷河期「働く一歩」応援制度がスタートして2年目になりますが、就職氷河期世代の支援・応援の現状と課題について率直な感想をお聞かせ下さい。
国の推計によると、宮城県の就職氷河期世代の支援対象者は「不安定な就労状態にある方」が約1万1千人、「様々な事情により求職活動を行っていない長期にわたり無業の状態にある方」が約7千人とされています。
県では、就職氷河期世代の支援として、就労相談窓口の平日夜間・休日への拡大や合同企業説明会の開催、働く一歩応援制度など、それぞれの状況に応じた取組を実施していますが、全体を通じて就職氷河期世代の方の利用実績が伸びておらず、各支援策のPRや対象者の掘り起こしが課題だと感じています。
―― 就職氷河期世代が就労において抱えている特徴的な課題は何だと思われますか?
就職氷河期世代は、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代であり、希望する就職ができず、現在も、不本意ながら不安定な仕事に就いている方や、無業の状態にある方などが多いと言われており、年齢も30代半ばから50代に差し掛かっているため、正規職員としての転職等もなかなか難しくなっていることが課題として挙げられると思います。
―― 就職氷河期世代が就労以外で抱えている課題にはどんなものがあるとお考えですか?
就職氷河期世代の中でも、長期にわたり無業の状態にある方や、ひきこもりなど社会参加に向けた支援を必要とする方については、例えば、「長期間無業のため履歴書の経歴欄を埋められないことが気になっている」「職場でのコミュニケーションや体力面で自信がない」等の悩みのほか、生活面や健康面での不安など、就労する前段階の様々な心配ごとを抱えているケースが多いと感じています。
―― 現在、他機関でも就職氷河期に向けた様々な支援があります。この「働く一歩」制度の特徴は何だとお考えですか?
前述しましたように、長期にわたり無業の状態にある方や、社会参加に向けた支援を必要とする方は、就労の前段階で様々な課題を抱えていることが多いと思われますが、「働く一歩」応援制度では、そのような方々がスムーズに就労に向けて準備できるよう、就労だけでなく、法律や福祉の専門家に悩み事を相談できる「ワンストップ相談会」を開催しています。
また、仕事や企業、社会への理解を深めていただくため、有償型の就業体験を行っていますが、安心して就業体験いただけるように、事前のトレーニング研修やフォローアップセミナーを行うなど、従来の相談事業や就業体験事業よりも手厚い内容となっており、いずれも無料で支援を受けられることが特徴です。
――「ワンストップ相談会」はどんな方に活用してもらいたいですか?
いろいろな悩みを抱えていると、肝心の就職活動にも身が入りません。就労に関することだけでなく、生活面などにおいて様々な心配事を抱えている方に気軽にご活用いただければと思います。
――「就業体験」についてはどうでしょうか?
長く仕事についておらず自信を失っている方や、社会に出て仕事をすること自体が未経験で不安を感じている方などにご利用いただき、就業体験を通じて働く喜びを感じるとともに、仕事や社会参加への理解を深める第一歩としていただければと思います。
―― 就業体験は体験の場を提供する地元企業の協力も必要です。県内の企業に向けて、この制度を活用することによるメリットをお聞かせください。
就職氷河期世代は潜在的労働力の1つであり、人手不足に苦しむ企業にとっても、マッチングの機会が生まれるなどのメリットがあると考えています。
また、雇用する前に就業体験を短期間受け入れることで、参加者の就業意欲を確認することができ、さらに協力金もお支払いしますので、企業の皆さんにも、是非、この制度の活用をご検討いただきたいと思います。
―― 最後にHPをご覧になっている皆さんにメッセージをお願い致します。
昨年、働く一歩応援制度で就業体験した皆さんから、「やってみないとわからないことが多かった」「やってみたら自信がついた」などの感想をいただきました。このように、まずは「やってみること」が大事だと感じています。いきなりの就業体験は気持ちの面でもハードルが高いと思いますが、この制度では、ワンストップ相談会や事前のトレーニング研修などもあり、スタッフの皆さんが丁寧にサポートしてくれますので、まずは勇気を出して「一歩」を踏み出してみてください。